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ガラスの好きな女の子​ ※ちょっと注意

  ある日虫と魚の組成がすべてガラスに変わって随分美しい世界になったなと思ったところで、いずれも娘の苦手なものだと気がついた。「虫さんかわいくなったね」、娘は小学校の入学前にしてはませていて、ガラス工芸をやっていた私の父の影響かガラス細工が随分お気に入りだった。父母の家に預ければ、父の、彼女にとっては祖父の工房から出るのを泣き喚いて嫌がるほどに。「そうね、虫さんかわいくなった」その時は奇妙な偶然だろうと馬鹿げた妄想を追い払ったのだが、「おじいちゃんもかな」。さすがに工房が父ごと美しいガラス細工に置き換わっていては、娘の能力を疑わざるを得なかった。
 そしてふと、祖父の工房から出てくるときに娘が泣き喚いていた理由をもう一度考えた。

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